この本を読んで勉強になったのは、つい私も中国の出来事や言い分を資本主義社会における自由民主主義のもとで生活している日本の私達と同じ基準で考えてしまう間違いに気つかせてくれた。中国では共産主義のもと国内私有財産はすべて中国共産党の持ち物である。そして中国は貨幣経済ではあるものの、共産党の所有している資産分を、国内で通貨として流通させている。従って通貨の発行限度に達すると、どこかの資産を奪い取らねば通貨を発行出来ない。新たな鉱脈や水、塩、資源、天然ガスなどを発見すると、その資産と埋蔵量に基づいて通貨を発行出来るのである。こんな形での不自然な「社会主義的市場経済」も自ずと限界があろう。それが来年だと著者・宇田川氏は予見したのだ。
そして興味高いのは、最後の方の【その崩壊後の中国】という項で、第2次世界大戦後のドイツのように「国連の信託統治」下になるか、自治区は独立したり他国による分割統治となったり、あるいは民族単位の国家が誕生する可能性もあると言う。いずれにしても中国は統一した政府ではなく、現在の地方政府が主体となって支配するようになる、と書かれている。
私も2008年8月に書いたエッセイ『ふざける菜漬け』の中の「変り行く世界の勢力図」の項で中国に就いては、「202X年には、連邦制を取り入れた中国に対して日本は、中国連邦の海岸線の州、シャントン(山東)州、チャンスー(江蘇)州、チョーチャン(折江)州、プーチェン(福建)州、そしてコワントン(広東)州などの各州政府とそれぞれ和親条約が取り交わされバランスの取れた交易が行われ始める」と書いている。なるほど宇田川氏の予見と類似しているではありませんか。
確かに我々は「平和ボケ」なのか、日本には外交のネゴシエーターが不在なのか、隣国の態度にどこ吹く風のスタイルを貫き通しているが、自国の東日本大震災の問題すら思うように解決できず、原発ゼロ論争を何とか再稼動に持ち込もうと今だ真面目顔して繰り返している日本政府/経済界だから、これもやむを得ないことなのであろうか。
いやいや、考え方を変えれば、つまり来年にでも中国が内部紛争から自爆してくれれば、その後はその混乱による特需が生まれ日本経済も立ち直って行くと考えれば、日本の「知らん振り」も神様が恵んでくれた賢明な策なのかも知れない。
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