2016年5月8日日曜日

カナダの山火事と東京大空襲

熊本/大分の連続地震でその被災者の避難状況をニュースを見て心痛めている最中、今度はカナダ・アルバータ州での「山火事」のニュースが飛び込んで来た。大規模な山火事が発生してすでに1週間になるが手の打ちようがなく、数日後に予報されている雨降りに期待しているという。ぼうぼうと山林が燃えている横を命がけで逃げる車が一列に繋がっている迫力あるシーンが映し出される。何と残酷な姿であろうか。8万人が避難し、東京23区の面積の5倍の広さが焼失しているという。

この火の海の放映を見ていると、数ヶ月前に読んだ早乙女勝元著『東京大空襲』~昭和20年3月10日の記録~(岩波新書)が思い出された。勿論小生は昭和の19年生まれであるから東京大空襲を自分の目で見たわけでは無いが、しかし米軍の戦闘機B29が600機以上で東京上空から一般市民を目掛けて焼夷弾の雨を降らせ一面を火の海にしたという。この本はその著者自身が猛火の中を逃げまどいかろうじて生き残った一人だったので、人間の義務としてあの恐ろしい夜の惨状を復元し、戦禍の真相を活字にとどめておきたいとして、その空襲の体験者を一人ひとり訪ね歩きノンフィクションとして書き上げたものである。

今、アメリカの大統領選の動きを見ても、そしてヨーロッパのEUにしても、そしてイスラム勢力の台頭にしても、世界中の動きが何かおかしい。しかし人類の平和の根幹は一つ。戦争はしないこと、相手と戦うのではなく、相手の立場をお互い様として理解することに尽きるのだ。「戦争は絶対にしない」ために、戦争を知らない私たちは是非この『東京大空襲』を一度読んで欲しい。

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