2019年2月2日土曜日

イギリス人女性の日本僻地一人旅


2月にある集まりで小生が「一人旅の魅力」をテーマに講演する機会を頂いた。現在その準備でパワーポイント制作に取り組んでいるが、「一人旅」ですごい人を見つけた。それも時代は明治時代初期(明治11年)、それも女性で、日本の奥地を一人旅したのだ。横浜を5月20日にスタートして、春日部~日光~新潟~楯岡(山形県)~新庄~秋田~大館~青森、そこから船で北海道に渡って、函館~森から船で室蘭へ、そこから海岸沿いに白老~苫小牧~平取まで行って”アイヌ人の生活”を観察し、復路は室蘭まで戻り今度は陸地に沿って、伊達~長万部~森〜函館まで戻って、そこから船で一挙に横浜まで戻って来るのだが、横浜到着が9月17日と言うからおよそ4ヶ月で僻地行脚を成し遂げた強靭な女性で、その名を「イザベラ・ルーシー・バード(47歳)」という。この旅に一人だけ通訳・案内人としてずば抜けた英語力のある「イトウ」が同行している。彼女は旅の道中、妹に手紙を44信送っているが、この内容を纏めて2年後に『日本奥地紀行』としてイギリスで発刊している。
彼女は体が弱かったので「転地療養」が一番と海外旅行を始めるが「種の起源」のダーウィンに「日本行き」を進められ、彼女は”最も安全で美しい国”が「日本」と信じて旅立ったという。しかし6月からの日本は梅雨の時期で、それはそれは田舎道で泥と塗れ、滑っては転び、そして蚤としらみとの悪戦苦闘の旅であったが、彼女の文化比較の目は鋭くノンフィクション作家として抜群でビックリ仰天である。民族学者の宮本常一も彼女の本を読んで講義を行っており、それが「イザベラ・バードの旅」として講談社から発刊されているが、これまた彼らしく日本文化との比較で読んで大変に面白い。是非「ひとり旅」にご興味有る方にはお薦め本として次の3冊を紹介します。
①『日本奥地紀行』イザベラ・バード著、高梨健吉訳 平凡社ライブラリー
②『イザベラ・バード「日本奥地紀行」を歩く』金沢正脩著 JTBパブリッシング
③『イザベラ・バードの旅』 宮本常一著 講談社学術文庫

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